Apple Payが手数料を取らないという謎解きに挑戦 〜アップルにしか解けない暗号を使っていることが鍵〜

アップルが発表した「Apple Pay」はおサイフケータイのようなものか。はい、その通りです。ものすごく壮大なことのようにAppleや各種メディアは発表してますが、iPhoneにNFC決済を乗せなければならない情勢で乗せるしかなかった、ただそれだけです。

コンシューマー視点で見れば、ですね。

一方で、その裏側である決済業界は大きな波に揉まれます。Apple Payはこれまでの決済の常識を一気に変えるだけのフレームワークであり、アップルには常識を変えるだけの力があるからです。

アップルの発表をきいて何が気になったか? それは2点あって、アップルは手数料を取らないの?ということと、どの競合が潰れていくかということ。

Apple Payでアップルは手数料を取らないのか

答えから言うとNoです。アップルの発表では消費者はもちろん開発者やクレカ会社から報酬は受け取らないとのことだけど、「んなこたない!」と考えるメディアが様々な憶測を広げていますよね。

今回、アップルは難解な問題を出した。そう言ってもいいでしょう。フリーミアムモデルというのはいつも不思議ですが、このApple Payの謎解きも実に面白く、思いを巡らしたくなります。

ということで、1つの仮説をパワポにまとめてみました。

ポイント1 消費者をクレカ決済させる便利なツール

クレカ業界の収入源は、大手と個人事業主などの中小企業の二手に分かれてます。その後者のクレカ決済を促すため、PayPalやSquareなどのレジ屋が、簡単なツールを提供して、そこそこの手数料で集客をしています。

Apple Payも同様に、iPhoneの指紋認証でクレカ登録を不要にし、何タップかで決済を可能にしました。

さらっと言いましたが「クレカをPassbookに隠ぺいした」というのが非常に重要なことです。消費者のクレカへの不信感をうまくごまかして、より身近にクレカ決済をするようになるからです。

つまり「決済ボリュームが増える」ということで、これを評価する企業はApple Payに乗っかりたくなるでしょう。

ポイント2 情報漏えい対策とプライバシー利用阻止

Apple Payではクレカ情報はiPhone内部で別のセキュリティ情報に置き換えられ、取引時にはそれを使って暗号化し、トークンを用いて決済します。

個人情報は店舗には見られません。これは過去にあった大規模なカード情報の流出事件を受けてのことでしょう。

店舗側にとってみれば、消費者の購買動向を分析して次のマーケティングに役立てたい情報。だからたまったものではないのかもしれません。ただ、TポイントとかPontaみたいなもの使えばいいのでは?とも思うけど。

ポイント3 アップルは自社で決済システムを持たない

Apple Payは決済フレームワークであって、iTunes StoreやApp Storeのような店舗とは違います。NFC決済する消費の大半は、アップルがアップルの商品を売るわけではないです。ですので、そこに手数料取りますよと言うつもりもないのでしょう。

また、アップルの発表では詳しく語っていませんが、Apple Developerのサイトに「これらの決済プラットフォームを使ってね」と書いてあります。この決済会社たちがクレカ取扱手数料を取っているというところに注目しましょう。しかも手数料がみな一律というところも。

ポイント4 アップルにしか解けない暗号を使っている

ポイント2で、Apple Payは決済時に暗号化したトークンを使うから安心だ、と書きました。暗号化があるということは、復号化をしなければなりません

クレカ決済をする流れを思い出してみると、レジ端末でピッとカードを読みとってから、クレカ会社への与信確認をします(ショッピング利用上限額というのが与信額です)。

この与信確認をするためには、必ずカード情報がクレカ会社に渡らなければならず、どこかでトークンの復号化をしています。

それはどこかというと、Apple Pay Developerで指定する決済会社と考えるべきでしょう。おそらくその決済会社ではAppleからセキュリティ基準について厳しく監視されているはずです。

ポイント5 アップルは実は手数料を取っている??

これはわかりません。上記の推測は当たっていると思いますが、仕組みのみをアップルが提供したのか、実は復号化は決済会社がアップルのサーバのAPIを叩きにいっているのかもしれません。

いずれにせよ、仕組みを提供するには開発費やセキュリティを保全するための維持費もかかります。システム利用料という形で取ると考えるのが自然でしょう。

言うなればアップルの立場は、クレカ決済会社の中でいうブランド(VISAやMasterCard)の役割に似ています。決済会社の手数料2.9%のうちの●%という形で取るのではないかと思われます。

Apple Payの登場でどの会社が潰れていくか

2番目の疑問については、とてもシンプルです。決済業界のプレイヤーはパワポに示したとおり多数ありますが、考えればとてもシンプルです。

Apple Payがもたらすもの、それは決済プラットフォームの標準化です。

決済を仲介する仕組みは、決済代行という古い言葉から始まり、仮想通貨やネット決済、電子マネーなど色んなサービスが登場しました。PayPalやGoogle Wallet、Squareなど、最近で言えばau Walletでしょうか。

それらは自社でサービスを企画し、自社で決済システムを作り、会社によっては自社でレジ端末(決済用WebUIやAPI)も開発します。

そのうちの後者2つを切り離したのがApple Payです。サービス設計と提携は自社で行うが、システムは決済会社に、レジは開発者に任せています。

つまり、その2者については競争が激化し、低コストのものだけが勝ち残り、その分野では利益が取れなくなっていくと思われます。

またクレカ情報をPassbookに隠ぺいしたことで、実物のクレジットカードを財布から取り出す機会も減っていくでしょう。Square, PayPalも進む道が段々と狭くなっていくことを感じると思います。

でもそれは大したことではないですね。個人間送金という次のDealをiOS端末同士で実現したときに、初めて破綻の2文字が現れるのだと思います。

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