「Apple Payがただの電子マネーに終わらない」と考える理由

Apple Payが決済業界を破壊するチカラを持っていることは先に述べました。では、次にApple Payが登場することで私たちの生活の何を変えるのか、平たくいうと「Apple Payを使うと何が嬉しいのか」、それをいろんな背景を交えながら説明したいと思います。

ようこそ、マイクロペイメント

モバイルペイメントでなくマイクロペイメントについての話です。マイクロペイメントは、一般的には1000円未満の決済を指しており、クレカがあまり利用されないシーンのことを言います。

1000円未満のとき、あなたは何で支払いますか?

Suica、Edy、現金あたりですよね。ここ最近の統計では、1000円未満の支払は50%以上が現金支払いです。少額でクレジットカードを利用する人は全体の4%にすぎません。

そして、そこにApple Payという選択肢が追加されました。ただ「電子マネーが一つ増えた」と思うでしょう。そうはならないのが今回ツッコミたいところなのです。

電子マネーが1000円未満の支払いに便利である一方、不向きなものは何でしょうか。

電子マネーが不向きなもの、それは5000円以上やWebでの決済です。そういう支払いでSuicaやEdyは使わないですよね。では何で支払うかというと、クレカや銀行振込です。

Apple Payを使い始めてから、このことに気がつくでしょう。支払う金額や場面によって、電子マネーとクレカ/銀行振込を併用していると、得られるポイントが分散してしまう。

「何枚もポイントカードを作って、ポイントを貯めても景品の最低金額に達しない。」

「マイルを貯めても溜まり切らないうちに失効期限がきてしまった。」

「(電子マネーのために)プリペイドしすぎて、どこにいくら預けたのかわからない」

そう思ったことは一度はないですか? ならばいっそのこと、すべて同じクレカに集約すればいいんじゃないか? その手段を提供するのがApple Payです。

Apple Payの特徴的なところは、Webでもアプリでもリアル店舗でも、すべてPassbookの中にあるクレカで支払いをします。Apple Payは100円単位の決済もクレカを使うことを後押しするでしょう。それも指紋認証とiPhoneの優雅なアニメーションによって、使う人に「クレカを使っている」ということを忘れさせてしまいます。

海外でも電子マネーを使えるということ

普段クレカを使っている人も、なぜか海外に行くと外貨両替した現金で支払います。Apple Payが普及するとそれが一気に様変わりするでしょう。

そのきっかけは「海外でもApple Payは使えるよ」の一言だけです。

なぜそれで使い始めるかというと「指紋認証があるから盗まれても大丈夫」とか、「Apple PayはPassbookでクレジットカードを選べるから」とか、そういった理屈優先ではなく、誰も海外で電子マネーを使ったことがないからです。

初めての体験をするときは「なんとなく使ってみよう」とか、「面白そう」という気持ちが自分を動かします。その体験を一層楽しくする演出をアップルはiPhoneの中に仕掛けているでしょう。

そして一度使うと、日本で電子マネーを使い始めたときのように、便利だから使いたいし、同じクレカのポイントがつくから使いたい、という気持ちで定着します。そして元の支払い手段には決して戻りません。

海外のお店で時計をかざして支払ったり、電話をかざしてATMから外貨を引き出したり、そんな風景が広がるのもそう遠くありません。

Apple Payが国境をなくす、と言っては過言ですが、通貨を難なくまたいでしまう、そんな可能性を持っているのだと思います。

支払いがより簡単に、便利に、楽しくなる

少しだけ固い話から入ります。先日の記事でアップルが手数料を取らないロジックの中でも触れましたが、決済フレームワークに関する話です。

アップルは決済システムを分断させて、そこに競争の仕組みを取り入れました。アップルは決済方法だけを自社で決め、ほかの決済システムとレジ開発は開発者たちに任せてしまったのです。

Apple Payでは複数の決済システムを利用させることで、よりよいサービス、より低いコストへと促す選択肢を与えました。また、レジ開発の開発者からは手数料を取らず、より良いレジの開発だけを促します

レジ開発とは何かというと、Webストアの「カートを見る」の画面だけでなく、リアル店舗にあるレジも含まれます。最近ではiPadやiPhoneを使ったレジも増えてますが、今後はさらに加速度的に色んなレジが登場してくるでしょう。面白くてオシャレでインタラクティブなレジが。

NFCがなかなか広まらない理由について、アップルは、手数料の分け前とか、決済端末のレンタル料が高いとか、業界のメカニズムに関わる話をしていました。そしてアップルはApple Payのすべてを自前で作らないことを選び、既存のメカニズムを破壊しました。1から自由にペイする体験を創っていこうと、すでに開発者たちは手を動かし始めています。

支払いはもっと楽しくなる。電話でペイできるだけでなく、これからは時計でもペイできるのだから。さあ、我々はどんな格好でペイしたら格好いいんでしょうね。

最後に、Apple Payって普及するの?

日本人の半分以上がiPhoneを持っています。アメリカが40%超、中国で20%、EU主要国で20%、オーストラリアが40%。南米やアフリカはまだまだです。

自力ではとてもじゃないけど全世界に普及は難しい。途上国ではAndroidありきでしょう。

Apple Payが支払いをもっと便利に、新しくすればするほど、Androidが負けじと取り込み、そのスタイルを世界中で当たり前のものにしていきます。

Squareがアメリカの屋台やタクシードライバーにスマホでクレカ決済をさせたように、Apple Payはいろんな開発者集団を引き連れて時計同士でハイタッチ決済をさせるのかもしれません。

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